地方大会の初戦などで時に発生する、10点以上の大量リード。ひと昔前であれば「どれだけ打ちのめされても9回まで戦い抜くことこそが相手への敬意だ」という精神論がまかり通っていた。しかし、危険水域の暑さが常態化した近年の夏において、実力差による無制限な失点とイニングの引き延ばしは、敗戦校の球児たちの心身に修復不可能なダメージを与えかねない。
5回10点差、7回7点差という得点差による打ち切りは、一見すると敗者への残酷な終止符に見える。だがその実態は、熱中症で倒れるリスクを回避し、控え投手の未来ある肩を無意味な乱打戦から守るための絶対的な防波堤だ。打ちひしがれる高校生の尊厳を保ちつつ、スポーツ医学に基づいた安全を優先する。そこには現代スポーツが持つべき最低限の優しさが組み込まれている。