瑛太の芝居は、呼吸ひとつで空間の温度を変えてしまう。是枝裕和監督の映画『怪物』で見せた複雑な内面を抱える教師役や、手に汗握るサスペンス映画の緊迫したシーンにおいて、彼の演技の奥行きは圧倒的だ。役作りの過程において、緊張と緩和のリズムをどうコントロールするか。ここに彼の嗜好品に対する哲学がある。
ヒューマンドラマで人間の弱さや哀愁を表現する際、ふとした間や呼吸の使い方が決定的なリアリティを生む。感情を爆発させる直前の静寂、あるいは複雑な台詞を飲み込む刹那。手元の煙を見つめながら役の心情に沈み込む時間は、単なる休憩ではなく、役柄の輪郭を指先でなぞるための濃密な創作タイムなのだ。