東京・日比谷に佇む帝国ホテル本館17階。エレベーターの扉が開くと、広々とした空間に上質な活気と芳醇な料理の香りが広がります。ここ「インペリアルバイキング サール」が他の追随を許さない最大の理由は、単にお腹を満たす食べ放題ではなく、日本の食文化史そのものを五感で体験できる特別な場所だからに他なりません。
日本の食文化における帝国ホテルバイキング発祥の歴史は、昭和33年(1958年)にまで遡ります。当時の犬丸徹三社長が北欧諸国の伝統料理「スモーガスボード」に着目し、当時調理師見習いだった若き日の村上信夫氏(後の第11代帝国ホテル料理長)を現地へ派遣。日本人に馴染みやすいスタイルへと再構築し、映画『バイキング』の豪快なイメージから名付けられたのが「インペリアルバイキング」でした。つまり、日本人が日常的に使う「バイキング」という言葉は、帝国ホテルから誕生した登録商標級の文化遺産なのです。
「元祖の帝国ホテルビュッフェに予約が殺到する決定的な理由とは何なのか」――その答えは、徹底した現場オペレーションにあります。一般的な食べ放題レストランに見られる「料理の乾燥」や「品切れによる待ち時間」が、ここではほぼ発生しません。シェフが客の目の前で仕上げるライブキッチンを主軸に据え、温かい料理は熱々の状態で、冷菜は徹底した温度管理のもとで小皿提供されるシステムが確立されています。さらに、ホテル業界随一と称されるフロアスタッフの気配りによって、空いた皿は滞りなく下げられ、常に清潔なテーブルで食事を楽しめます。この「上質なフルコースを自分のペースで仕立てる自由」こそが、リピーターを惹きつけてやまない核心です。