SNS上では、顔を小さくしたい、Eライン(鼻先と顎先を結ぶ直線)を整えたいという審美的な動機から「顎変形症で保険適用を受けたい」と考える声が散見されます。しかし、現場の医療現場においてこの認識は完全に誤りです。
顎変形症治療の保険適用は、あくまで「噛み合わせの機能障害を治すための医療」に対して国が認めている制度です。日本顎変形症学会のガイドラインでも厳しく定められており、セファロレントゲン写真による頭蓋骨の計測データや咬合器による咀嚼機能検査によって、明らかな骨格的異常と機能障害が証明されなければ病名診断は下りません。
仮に骨格が標準範囲内にあるにもかかわらず「小顔になりたい」と希望しても、保険適用の対象外となるだけでなく、健全な骨を切断することは咬合崩壊を招く危険行為として専門医から拒絶されます。一部の自由診療クリニックが美容目的で行う「骨切り」と、大学病院や指定医療機関で行われる「顎変形症の外科的矯正治療」を同一視することは、医療安全の観点からも絶対に避けなければなりません。