リアリティショーに一生涯ついて回るテーマが「演出や台本の有無」です。インターネット上では「すべてシナリオ通りなのではないか」「告白相手も制作陣が決めているのではないか」というNetflix恋愛リアリティショーやらせ疑惑の真相を巡る議論が後を絶ちません。
結論から申し上げますと、一言一句を指示するような「脚本・台本」は存在しません。しかし、完全に放置されたドキュメンタリーでもありません。現場で採用されているのは、欧米のテレビ界で確立された「プロデュースド・リアリティ(Produced Reality)」と呼ばれる制作手法です。
具体的には、制作陣が特定の感情を引き出しやすい状況(例:2人きりの狭い空間での作業、お酒の入るパーティー、ライバル同士の同室配置)を意図的にセッティングし、インタビュー(告白部屋でのインサート撮影)を通じて「今、〇〇さんに対してどう思っていますか?」「寂しいと感じませんでしたか?」と感情を言語化させるよう巧みに誘導します。数千時間に及ぶ撮影テープから、ストーリーラインに合致する1%の瞬間を切り取り、劇的なBGMとともに編集することで、あたかも運命のドラマであるかのように仕立て上げるのです。
また、過去の痛ましい事件を受けて、Netflixは近年、業界で最も厳格な出演者保護プロトコルを敷いています。専属の臨床心理士による事前審査、撮影中および配信後の定期的なメンタルヘルス面談、さらには炎上を防ぐためのSNS運用指導が徹底されています。過度な悪者(ヒール)作りが規制された結果、近年の作品では「誰も悪人にしない優しい編集」がトレンドとなり、それが『あいの里』や『ボーイフレンド』の品格ある感動へと結実しています。