本作の物語は、極めて切実で痛切な告白から幕を開けます。主人公の男子高校生・天野弥白(あまの やしろ)は、密かに想いを寄せていた親友の七原ケンタ(ななはら けんた)に想いを告げるものの、あっけなく玉砕。失意のどん底に突き落とされた直後、神社の参道でトラックに轢かれて命を落としてしまいます。
死の淵で弥白の前に現れたのは、気まぐれで退屈を持て余していた「神様」でした。神様は自身の気まぐれ――すなわち「えこひいき」によって、弥白に新たな肉体を与えて現世に転生させる奇跡を提案します。親友に愛されたい一心だった弥白が願ったのは、「ケンタ好みの女子高生になりたい」という切実な変身でした。
目を覚ました弥白が宿っていたのは、同じ事故に巻き込まれて瀕死状態だった女子高生・鳥居恵那(とりい えな)の身体でした。外見は可憐な美少女、しかし内面はケンタを愛する男子高校生。ケンタとの距離を縮めようと奮闘する弥白(外見:恵那)ですが、ケンタは「弥白の突然の死」という深い喪失感とトラウマに囚われており、恵那のふとした仕草や言葉の端々に亡き親友の幻影を見出して激しく動揺します。
さらに事態を複雑化させたのが、「鳥居恵那自身の魂」の行方でした。奇跡的に一命をとりとめた弥白の本来の肉体――そこに宿っていたのは、なんと恵那自身の意識でした。男子高校生の肉体に入った恵那、女子高生の肉体に入った弥白。身体と心が交差する特異な状況下で、ケンタ、弥白、恵那、そして傍観者であるはずの神様をも巻き込んだ、前代未聞の愛の実験が展開していくことになります。