「千歳市美々」という地名を検索するユーザーの間では、過去の鉄道事情や気象条件に関する誤解も少なくありません。ここでは、旅行者が陥りやすい2つの大きな盲点を検証します。
「美々駅で降りたら空港に行けない!」旧JR美々駅廃止の経緯と真相
鉄道ファンや長年の北海道旅行者の間で伝説として語り継がれているのが、旧JR美々駅廃止の経緯と真相です。かつてJR千歳線には、南千歳駅の隣(苫小牧方面へ1駅目)に「美々駅」という実在の駅がありました。
新千歳空港の住所が「千歳市美々」であるため、事情を知らない旅行者が「美々駅で降りれば空港に行けるはずだ」と勘違いして下車してしまうトラブルが過去に何度も発生しました。しかし、実際の旧美々駅は空港ターミナルの反対側(西側の森林・湿地帯)に位置しており、駅前にはコンビニもタクシー乗り場もなく、周囲には美々貝塚と原野しか広がっていない、いわゆる「秘境駅」だったのです。当時の駅ノートや旅行者の手記には、「空港の住所を見て降りてしまったが、人影すらなく途方に暮れた」という生々しい体験談が書き残されています。
最終的に、旧JR美々駅は1日あたりの平均乗車人員が1人以下という極端な利用低迷と、JR北海道の経営合理化・維持費削減の方針により、2017年(平成29年)3月4日のダイヤ改正をもって旅客駅として廃止され、現在は列車の行き違いを行う「美々信号場」へと姿を変えました。新千歳空港へ鉄道で向かう際は、必ず南千歳駅から分岐する支線の終点「新千歳空港駅」まで乗車する必要があります。
千歳市美々の天気と欠航ニュースの裏側にある地形的メカニズム
もう一つの盲点が、千歳市美々の天気と欠航ニュースに関する構造的な理由です。ニュース番組で「新千歳空港で大雪のため100便以上が欠航、ロビーで数千人が一夜を明かす」といった報道を目にする機会は多いですが、実は千歳市美々の年間降雪量そのものは、豪雪地帯である札幌市や小樽市、岩見沢市と比べると決して多くありません。
それにもかかわらず大規模な欠航が発生する理由は、美々地区が「石狩平野から太平洋側の勇払原野へ抜ける風の通り道」に位置しているからです。普段は晴天率が高い反面、冬場に日本海側で発達した雪雲(JPCZなど)が風に乗ってピンポイントで千歳上空に流れ込むと、わずか数時間で視界がゼロになるホワイトアウトやドカ雪に見舞われます。2本の平行滑走路を交互に除雪しながら運用する体制が整っているものの、降雪ペースが除雪能力を超えると一気に発着不能に陥るのです。また、6月〜7月の初夏には太平洋から冷たい海霧(ガス)が美々地区に流れ込み、視界不良による条件付き運航や遅延が起きやすいという特徴も押さえておくべきポイントです。