長野屋食堂のルーツを辿ると、その創業は大正4年(1915年)頃にまで遡ります。1世紀以上もの間、関東大震災や東京大空襲、そして戦後の闇市から高度経済成長期に至るまで、新宿という街の劇的な変貌を定点観測のように見つめ続けてきました。
かつて文豪や映画人、職人、駅を利用する庶民の胃袋を支えてきた空間は、今なお当時の面影を色濃く残しています。店内に一歩足を踏み入れれば、使い込まれたテーブルや短冊に書かれたお品書きが目に飛び込み、大都会の喧騒から一瞬で切り離されたような独特の安心感に包まれます。単なる飲食店という枠を超え、新宿の生活史を今に伝える生きた文化遺産とも呼べる存在です。