「描けない」最大の理由は、手が動かないことではなく「見ていない」ことにある。多くの初心者は、対象を頭の中にある大雑把な概念(目、鼻、髪などの記号)に変換して描いてしまいがちだ。
脳科学に基づく最新のトレーニング法では、対象を「情報」として正しく脳に取り込む「観察の解像度」を高めることが最優先される。描きたい対象を上下逆さまにして描く「倒置模写」や、ネガティブスペース(オブジェクトの隙間の余白)の形状に注目する技法は、脳の先入観をキャンセルし、輪郭や配置の狂いを即座に見抜く眼を養う。観察眼さえ研ぎ澄まされれば、デッサンの狂いは自ずと激減する。