介護現場や在宅医療の現場において、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が口を揃えて指摘するのが「適合していない車椅子を漫然と使い続けることの危険性」です。
SNSや介護コミュニティの投稿を調査すると、以下のような失敗談が数多く報告されています。
「通販で一番安くて軽い車椅子を買ったら、座面がスリングシート(布1枚)で沈み込み、数週間で父がお尻の激痛を訴えて座るのを嫌がるようになった」
「介助が楽だからと小さめの介助用を買ったが、本人が自力で動かす意欲を完全に失ってしまい、一気に下肢の廃用が進んでしまった」
身体に合わない車椅子に長時間座り続けると、骨盤が後ろに倒れる「仙骨座り(骨盤後傾)」になり、背中が丸まり嚥下(えんげ)機能が低下して誤嚥性肺炎のリスクが高まります。さらに、坐骨結節部に体重が集中して数時間で組織が壊死し、重篤な褥瘡を形成することすらあります。
この問題を回避するために欠かせないのが「車椅子用クッション」の併用です。ウレタンフォーム、エアセル、ジェル素材などを組み合わせた専用クッションは、体圧分散と姿勢安定を同時に実現します。標準付属のシートだけに頼るのではなく、クッションとセットで車椅子環境を構築することが医療・福祉現場の常識となっています。