若宮八幡社のエネルギーが最も凝縮される瞬間が、毎年5月15日と16日に行われる例祭「若宮まつり」です。熱田神宮の熱田まつり、東照宮の名古屋東照宮祭と並び「名古屋三大祭」のひとつに数えられるこの祭礼は、江戸時代初期から続く城下町の大祭です。
祭礼の華となるのが、名古屋市指定有形民俗文化財に指定されている山車「福禄寿車(ふくろくじゅしゃ)」の運行です。延宝4年(1676年)に製作されたこの山車の上では、からくり人形が神妙かつ軽妙な舞を披露し、観衆を魅了します。16日の本楽(ほんがく)では、若宮八幡社を出御した山車と神輿行列が、かつての目抜き通りである本町通を北上し、那古野神社(旧天王社)まで巡行する歴史的なルートをたどります。
近代化されたビル街を、木造の巨大な山車が威勢のいい掛け声とともに練り歩く光景は、名古屋の都市空間が持つ歴史的連続性を強く印象づけます。オフィス街で働くビジネスパーソンや地元商店街の若衆が一体となって綱を引く姿には、分断されがちな現代都市において強固な社会的紐帯を再生させる大きな求心力が宿っています。