イギー・ポップを語る上で避けて通れないのが、ロック史に刻まれた数々の過激な伝説とエピソードです。1960年代末、ザ・ストゥージズのフロントマンとして登場した彼は、従来のロックコンサートの概念を根底から破壊しました。
観客席へダイブする「ステージダイブ」を世界で初めて行った人物とされるだけでなく、自らの胸にピーナッツバターや生肉を塗りたくる、割れたガラス片の上に転がって血まみれになりながら歌うといったパフォーマンスは日常茶飯事でした。自著や当時の関係者の証言によると、これらの行動は単なる悪ふざけではなく、「観客とステージの境界線を完全に消滅させ、生々しい現実を突きつけるための過激な身体芸術」であったと語られています。痛覚を麻痺させたかのようなステージングは、後のパンクロックやハードコア、グランジシーンに決定的な衝撃を与えました。