鈴木崚汰のキャリアを語る上で欠かせないのが、作品ごとにまったく異なる体温を吹き込むキャラクター造形力です。デビュー初期から現在に至るまで、彼が演じた代表作の軌跡を辿ると、役者としての進化のグラデーションが明確に浮かび上がります。
ブレイクスルーの契機となったのは、大ヒット作『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の石上優役でした。前髪で目を覆い、周囲に心を閉ざしがちな陰キャ気質の男子高校生が、葛藤を乗り越えながら徐々に成長していく内面を、鈴木は抑制の効いた低音ボイスとリアルな息遣いで表現。単なるコメディリリーフに留まらない人間味を宿らせ、原作者や原作ファンからも絶賛を浴びました。
そして、鈴木崚汰の名を不動のものにした決定打が、世界的人気作『葬送のフリーレン』におけるシュタルク役です。普段は臆病で情けない声を漏らしながらも、いざ巨大な魔物や敵と対峙した瞬間には、大地を割るような渾身の戦士の叫びを轟かせる。この「ヘタレと覚醒の極端なギャップ」を、鈴木は計算し尽くされた音圧のコントロールで見事に両立させました。特番のキャストインタビューにおいて、鈴木自身が「シュタルクの恐怖は弱さではなく、生きたいという強烈なエネルギー。叫びの根底にある泥臭さを大切にした」と述懐している通り、感情のリアリティを最優先する姿勢が視聴者の涙腺を激しく揺さぶりました。
さらに、不良×英雄アクションとして熱烈な支持を集める『WIND BREAKER』では、カンフーを操る知性派の武闘派・蘇枋隼飛を担当。普段の柔和で紳士的なトーンの裏に、底知れない冷徹さと鋭利な美学を秘めた台詞回しは、これまでの熱血漢やダウナー少年とは一線を画す「艶のある色気」を提示し、演技の引き出しの深さを業界内外に見せつけました。
ほかにも『錆喰いビスコ』の赤星ビスコ役で見せた荒削りなバイタリティや、『ツルネ -風舞高校弓道部-』の山之内遼平役における爽やかな直球芝居など、担当する役柄の幅広さは同世代の中でも群を抜いています。