『葬送のフリーレン』で大ブレイクを果たす以前にも、山田先生は漫画ファンの記憶に残り続ける名作を送り出しています。
まず注目すべきは、原作を担当した『名無しは一体誰でしょう?』(作画:岡崎河亮/週刊少年サンデーS・2013〜2015年連載)です。記憶喪失の主人公が自らの正体を追うサスペンスミステリーで、巧みな伏線回収と緻密なプロット構成は、現在のストーリー構築力の高さを雄弁に物語っています。
さらに、自身で作画も手掛けた『ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア』(サンデーうぇぶり・2016〜2017年連載)は、山田鐘人という作家の魂が最も純粋に投影された作品の一つです。人類が滅びかけた終末世界を舞台に、孤独な博士とロボット少女の少しとぼけた日常と別れを描いた本作は、「生きることの寂しさと愛おしさ」を描いており、まさに『フリーレン』に直結する叙情的な世界観の原点となっています。