ネット上の掲示板や週刊誌で定期的に浮上するのが「男女お笑いコンビ不仲説」です。かつてこれほどまでに赤裸々な確執が明かされた例はないのが、南海キャンディーズの歴史でしょう。
山里亮太が自著『天才はあきらめた』や数々のテレビ特番で振り返っている通り、2004年のM-1グランプリで一躍スターダムに駆け上がった直後、世間の注目が圧倒的なキャラクターを持つしずちゃん(山崎静代)だけに集中したことで、二人の関係は修復不可能なレベルまで悪化しました。映画『フラガール』への出演オファーをしずちゃんに知らせず握りつぶそうとしたエピソードや、舞台上で目も合わせず最小限の単語しか交わさなかった暗黒期は、まさに「コンビ内格差」が生んだ嫉妬と苦悶の極致でした。
その二人が解散の危機を脱した契機は、互いのソロ活動が円熟し、山里が自身の卑屈さと向き合い直したことにありました。しずちゃんがボクシングのロンドン五輪挑戦を経て芸人として復帰した際、山里が心からの敬意を抱いたことで二人は「無二の戦友」へと昇華しました。山里と女優・蒼井優との電撃結婚において、しずちゃんが最大の恋のキューピッドとなったドラマチックな結末は、確執を乗り越えた男女コンビならではの奇跡的な絆を象徴しています。
一方、現在の若手・中堅世代を代表する蛙亭の関係性は極めて今日的です。イワクラが書く唯一無二のシュールかつ狂気に満ちたコント台本に対し、中野周平が抜群のリアクションと演技力で応える関係です。イワクラ自身がオズワルド伊藤俊介とのオープンな交際を公表してからも、コンビ間のクリエイティブには何一つ陰りが見られません。プライベートな恋愛とコンビの共同作業を完全に切り分け、互いの作家性を尊重し合うプロフェッショナルな距離感を維持しています。