熊本市が政令指定都市への移行を強く推進した最大の理由は、九州中央部における拠点性を確立し、広域行政を主導する自立的な都市経営基盤を構築することにありました。福岡市の一極集中が進む九州圏において、中九州・南九州を牽引する中枢都市として発言力を高め、県から福祉・都市計画・インフラ整備などの広範な権限と財源を移譲させることが不可欠と判断されたためです。
地方自治法が定める政令指定都市の法定人口要件は「人口50万人以上」ですが、国の運用上は長らく「100万人以上」(後に80万人以上)とされていました。しかし、平成の大合併を推進する国の特例方針(合併重点支援期間による「70万人以上」への要件緩和)が追い風となります。
熊本市は2008年に旧下益城郡富合町、2010年に旧下益城郡城南町および旧鹿本郡植木町との編入合併を段階的に実施。これにより推計人口約73万人を確保し、政令指定都市移行への前提条件を整えました。そして2011年10月の閣議決定を経て、2012年4月1日、正式に政令指定都市としての新たな歩みをスタートさせました。