ヨコヅナサシガメ(学名: Agriosphodrus dohrni)は、カメムシ目サシガメ科に属する日本最大級のサシガメです。成虫の体長は約16〜24mmに達し、光沢のある黒い体と腹部側面の白黒の縞模様が際立つ外見をしています。サクラ、エノキ、ケヤキなどの樹幹のくぼみや樹皮の隙間に群生し、近年は都市部の公園や住宅街の庭木でもごく身近に確認されています。
人間を積極的に襲うことはありませんが、捕まえようとしたり、洗濯物を取り込む際に誤って皮膚で押し潰してしまったりすると、強固で湾曲した口吻(こうふん)を突き刺してきます。この瞬間に注入されるのが、獲物の体組織を液化させて吸汁するための「強力な消化酵素を含んだ唾液」です。
この消化液にはプロテアーゼなどのタンパク質分解酵素やホスホリパーゼが豊富に含まれており、人間の皮下組織に注入されると細胞が局所的に分解・破壊されます。これが「焼けた千枚通しで刺されたような痛み」と形容される激痛の物理的要因です。