日本におけるメンズヘアの歴史を振り返ると、1990年代後半から2010年代前半にかけては「カリスマ美容師」ブームに象徴される中性的なレイヤースタイルやマッシュヘアが市場を席巻していました。かつて町の至る所にあった「床屋(理容室)」は、どちらかといえば中高年男性がルーティンで通う場所、あるいは子どもが親に連れて行かれる場所という固定観念が定着していたのが実情です。
その停滞した空気を鮮やかに打ち破ったのが、代表の西森友弥氏が率いるMR.BROTHERS CUT CLUBでした。西森氏は美容師としてキャリアをスタートさせながらも、アメリカの伝統的なバーバーが持つ男らしさや無骨なクラシックスタイルに強い共感を抱き、理容師免許も取得。「男が心からかっこいいと思える、男のための社交場を作りたい」という執念から、2015年2月、渋谷区神宮前にわずか数席のミスターブラザーズカットクラブ 原宿本店を立ち上げました。
同店が打ち出したのは、スキンフェードと呼ばれる0ミリからのグラデーションカットや、ポマードでタイトに撫で付けたサイドパート、ポンパドールといったバーバーショップ クラシックスタイルです。音楽、モーターサイクル、タトゥーカルチャーと有機的に結びついたその世界観は、流行に敏感な原宿のクリエイターやストリート層から瞬く間に熱狂的な支持を集め、日本全国に「ネオバーバーブーム」と呼ばれる巨大な潮流を生み出す起点となりました。