地元住民に長年愛されてきた曾家豆漿が突如シャッターを下ろし、「無期限休業」を宣言したのは2024年春のことでした。店頭に掲げられた手書きの休業告知には、店主の苦渋の決断が滲んでおり、現地のTVBSや三立新聞をはじめとする大手メディアが一斉にトップニュースとして報じる事態へと発展しました。
曾家豆漿の休業理由の核心にあったのは、ポルトガル風エッグタルト(葡式蛋撻)の爆発的なバズによるキャパシティ崩壊です。もともと深夜から早朝にかけて働くタクシードライバーや地元民の胃袋を満たしてきた大衆店に、InstagramやThreads、TikTokのショート動画をきっかけとした若者や観光客が殺到。連日深夜2時を過ぎても100人を超える人だかりが歩道を埋め尽くし、錦州街一帯は駐輪・駐車の混乱と騒音で警察が連日出動する異常事態に陥りました。
当時の報道陣の取材に対し、店主家族は「仕込みが24時間追いつかず、スタッフ全員の体力が限界に達した」「近隣住民への迷惑が看過できないレベルになり、安全な営業が継続できない」と吐露しています。SNSの拡散力が引き起こした急激な需要過多に対し、昔ながらの個人営業体制が耐えきれなくなった典型例と言えます。