本作が遺した功績は、ストーリーテリングに留まりません。山口智子さんが体現したビジュアルスタイルは、当時の女性たちの美意識を根本から塗り替えました。
第1話の冒頭、結婚式当日に新郎に逃げられた南が、角隠しに白無垢姿で浅草からマンションまで全力疾走するシーンの衝撃は今も色褪せません。その後、瀬名との同居生活で見せたロングバケーション 葉山南 衣装は、それまでの「月9」ヒロインに典型的だった華美なコンサバファッションとは一線を画すものでした。オーバーサイズのネルシャツ、ざっくりとしたグリーンのニット、ミリタリージャケット、色褪せたストレートデニムにエンジニアブーツといった、いわゆる「グランジ」「アメカジ」を女性らしく軽やかに落とし込んだスタイルは、山口さん自身の私物や意見が色濃く反映されたものでした。
さらに、多くの女性が美容室に殺到する社会現象となったのが、山口智子 ロングバケーション 髪型です。作り込みすぎないレイヤーの入ったミディアムボブ、無造作に耳にかけた前髪、飾らないパーマの質感は、「誰かのために着飾る」のではなく「自分が心地よくあるためのスタイル」という新しい女性像を提示しました。バブル期の肩パッドやワンレンボディコンから、自然体で自立したカジュアルへ。山口さんが演じた南のスタイルは、日本のストリートファッション史における決定的な転換点となったのです。