大手旅行クチコミサイトやSNS、長寿ブログに綴られた乗車記を丹念に精査すると、乗客の9割以上が「人生で最高の旅」「クルーの心遣いに涙が出た」と惜しみない賛辞を送っています。特筆すべきは、乗客一人ひとりの嗜好や健康状態、乗車動機(銀婚式、退職祝い、闘病後の快気祝いなど)を全クルーが完全に共有し、マニュアルを超えたサプライズ演出を自然に繰り出すホスピタリティの深さです。
しかし、ジャーナリスティックな視点で見逃してはならないのは、高評価の陰に潜む「寝台列車ならではの構造的デメリット」です。ネット上の美談だけを鵜呑みにして乗車すると、思わぬギャップに戸惑う利用者が一定数存在します。
実際に寄せられているネガティブな口コミの筆頭は、「線路の継ぎ目による振動と騒音」です。ななつ星は最新の台車制御や防音材をふんだんに導入していますが、ベースはあくまで鉄路を走る鉄道車両です。深夜の待避線での停車時や、山間部のカーブ区間では独特の横揺れやブレーキ音が客室内に響きます。普段からわずかな物音や揺れに敏感な体質の人は、「初日の夜は熟睡できなかった」と吐露する事例が見受けられます。
次に挙げられるのが、「想像以上に過密なタイムスケジュール」です。途中の停車駅では地元住民による温かい旗振り歓迎や、伝統工芸工房の特別見学、景勝地への専用バスツアーなどが緻密に組み込まれています。車内で優雅に読書をしながら過ごしたいと考えていた乗客にとっては、「イベントや下車観光への参加に追われ、自室でゆっくり寛ぐ時間が足りなかった」という贅沢な不満に繋がることがあります。