缶の裏面を見て「火気厳禁」や「高圧ガス:LPG」の表記を見つけ、「これは飛行機に一切乗せられないのではないか」と躊躇した経験はないでしょうか。あるいは逆に、「火気厳禁マークが付いているけれど、虫除けだから大丈夫」と持ち込んで没収されるケースもあります。ここには知られざる判定基準のカラクリが存在します。
火気厳禁マークスプレー持ち込み理由の根本は、「肌につけるもの(身体用)か、それ以外か」という点に集約されます。可燃性ガスを使用していても、薬事法(医薬品医療機器等法)上の「化粧品」「医薬品」「医薬部外品」に該当し、人体に直接使用することが明記されている製品については、安全基準の範囲内で例外的に航空機への輸送が認められています。そのため、ヘアスプレーや制汗スプレーに火気注意マークが記されていても、1容器500ml・合計2Lの上限内であれば手荷物としても受託手荷物としても適法に運べます。
これに対して、虫除けスプレー飛行機NGの真相は極めてシビアです。ドラッグストアの虫除けコーナーには、大きく分けて2種類の製品が並んでいます。
ひとつは、人の腕や足に直接噴霧して蚊やブヨを避ける「人体用虫除けスプレー(医薬品・防除用医薬部外品)」。もうひとつは、網戸やテント、空間に噴霧して虫を寄せ付けない、あるいは退治する「空間用忌避剤・家庭用殺虫剤」です。後者には、高濃度の合成ピレスロイド系薬剤や有機溶剤が含まれており、航空法上は「毒物および引火性危険物」に分類されます。たとえパッケージに「天然成分由来」と書かれていても、用途が「空間用」や「害虫駆除」であれば、機内持ち込みはもちろん、スーツケースへの預け入れも一切認められません。パッケージの成分表や使用目的を検査員が厳格にチェックするのはこのためです。