絶大な人気を誇りながら、なぜ宝生舞は芸能界を去ったのか。ネット上では「体調不良説」「人間関係のトラブル説」など根拠のない憶測が飛び交うこともありましたが、実際の経緯は極めて誠実かつ現実的なものでした。
私生活では2007年、30歳の節目に7歳年上のグラフィックデザイナー・西 buzz(西幹洋)氏と結婚。その後も仕事を続けていましたが、2010年5月31日付の公式ブログにおいて、所属事務所との契約終了に伴い芸能界を完全に引退することを発表しました。当時のブログに綴られていたのは、次のような率直な心情でした。
「これ以上、自分の中で誇れる表現をしていく自信が持てなくなった」「これからは一人の女性として、自分の足でしっかりと生きていきたい」
周囲に引き止められながら惰性で続けることを拒み、自分が納得できる表現を提供できなくなった段階できっぱりと身を引く——。この決断は、彼女が一貫して持ち続けていた自律的な生き方を象徴するものでした。その後、2017年に放送された日本テレビ系SPドラマ『ぼくらの勇気 未満都市 2017』において、KinKi Kidsのデビュー20年を祝うためだけに1夜限りの奇跡的な特別出演を果たしましたが、プロモーションや本格復帰の誘いには乗らず、再び静かに日常へと戻っていきました。