結論から明確な事実を述べると、セブン-イレブン豊洲1丁目店は伝説の日本1号店ではありません。ネット検索やSNS上で頻繁に混同されるこの噂は、地名に含まれる数字の印象が生み出した典型的な誤認です。
日本におけるコンビニエンスストア文化の原点となった記念すべき「セブン-イレブン日本1号店」は、同じ豊洲エリアの東京都江東区豊洲4丁目に所在する「セブン-イレブン 豊洲店」です。1974年(昭和49年)5月15日、酒販店「山本取扱店」を改装して産声を上げたあの歴史的店舗と、豊洲1丁目店は直線距離にして約600メートルほど離れたまったく別の店舗となります。
当時の創業史を振り返ると、鈴木敏文氏(元セブン&アイ・ホールディングス会長)をはじめとする創業チームが「日本に新しい流通インフラを創る」と奮闘した記録が数々の手記に残されています。米国のサウスランド社からノウハウを導入し、日本仕様の小型店舗としてスタートした豊洲店には、現在も店内外に「発祥の地記念碑」や歴史を伝える展示レリーフが誇らしげに掲げられています。しかし、豊洲1丁目店にはそうした記念碑は存在せず、都市型店舗としての日常風景が広がっています。
それにもかかわらず誤解が生じる背景には、「日本の流通を変えた“第1号店”なのだから、地名も“1丁目”にあるはずだ」という来訪者の無意識の連想が働いていると考えられます。この住所表記の先入観が、歴史的聖地を巡礼しようとする人々に小さな混乱をもたらし続けているのです。