都内の小児眼科クリニックを取材すると、診察室では連日のように親と医師の間で切実な対話が交わされています。来院する保護者からは「外出先や夕食の準備中に動画を見せないとぐずってしまい、どうしてもスマホを渡してしまう」「小学校で1人1台端末が配備されて以降、あっという間に学校検診で視力判定がCやDに落ちた」という悲痛な声が上がっています。
臨床の現場で医師たちが共通して警鐘を鳴らすのは、画面を見ている時間の長さだけでなく、子どもが無意識のうちに画面へ顔を近づけてしまう「視聴姿勢」の崩れです。成人に比べて腕が短い子どもは、油断すると画面との距離が15〜20cm程度にまで縮まります。この至近距離作業が毛様体筋に与える負荷は、30cm離して見る場合の2倍から4倍以上に跳ね上がります。
家庭内での過度な制限が親子間の衝突を生み、隠れて布団の中でスマホを見るという最悪の環境(暗所での至近距離凝視)を作り出してしまうケースも散見されます。家庭内で一方的に禁止するのではなく、「物理的な距離を保つ仕組み」と「画面から目を離す明確なインターバル」を生活リズムの中に組み込む工夫が不可欠です。