50メートル走のタイム構成比において、最初の10メートルから15メートルを占める「一次加速局面」の比重は極めて大きく、全体の成否の半分以上を決定づけます。ここで出遅れると、後半にいくらトップスピードを高めても挽回は不可能です。
学校教育の現場で最も一般的な立ちスタートにおいて、劇的な効果を発揮するのが50メートル走 スタンディングスタート 構え方の最適化です。多くの走者は足を前後に開いた際、両足に均等に体重をかけて構えてしまいますが、これは致命的な初動遅延を招きます。前足に体重の約70〜80%を乗せ、後ろ足のかかとは完全に浮かせてアキレス腱のバネをセットします。そして「用意」の合図でみぞおちを前方に傾け、スタートの合図が鳴った瞬間に前へ自然と倒れ込む「位置エネルギーの解放」を利用するのです。合図を待ってから力で踏み出すのではなく、前方に崩れる身体を支えるために自然と足が前に飛び出す状態を作ることが初速ロスの完全な排除につながります。
一方、陸上部や専門種目で採用される50メートル走 クラウチングスタート コツとしては、スターティングブロック(または土の窪み)を押す際の「両脚の同時出力」が挙げられます。クラウチングは前足だけで蹴るのではなく、前後の足でブロックを挟み込むように挟撃圧をかけ、号砲と同時に背筋から臀部の筋肉を一気に爆発させます。飛び出した直後、視線を無理に上げず、頭からかかとまでが一直線の斜め45度を保ったまま最初の5歩を踏み抜くこと。この低空飛行こそが、後半のトップスピードへスムーズに移行するための必須条件です。