インターネット上の掲示板やSNSでは、「犬が白い泡を吐くのは空腹のサインだから、すぐにジャーキーやおやつを食べさせれば治る」という言説が散見されます。しかし、これは臨床現場の視点から見ると極めて危険な誤解です。
誤解1:吐いた直後に水や食事を与える行為
嘔吐直後の胃粘膜は激しい充血と炎症を起こしており、極めて過敏な状態にあります。ここで慌てて水分やフードを与えると、胃壁が刺激されてさらなる嘔吐反射を誘発し、脱水症状や電解質異常を悪化させる負のスパイラルに陥ります。
誤解2:白い泡だから誤飲の可能性は低いという思い込み
「異物を飲み込んだなら、固形物や血液が出るはず」と考える飼い主は少なくありません。しかし実際には、おもちゃの破片や布類が胃の幽門部(出口)に詰まり不完全閉塞を起こすと、胃液だけが逆流して純粋な白い泡だけを頻繁に吐くケースが多発しています。散歩中の拾い食いや自宅内の小物がなくなっていないか、冷静な確認が不可欠です。
誤解3:胃拡張捻転症候群は大型犬だけの病気という油断
食後数時間以内に「白い泡を吐き出そうと何度もえずくが、何も出てこない」「背中を丸めて苦しそうに歩き回る」「お腹が太鼓のように張る」という症状が現れた場合、疑うべきは胃拡張捻転症候群(GDV)です。大型犬・深胸犬種(ゴールデンレトリーバー、ボルゾイ、シェパード等)に好発することで知られますが、近年は高齢化したダックスフンドやトイプードルなどの小型犬でも発症例が報告されています。発症から数時間でショック死に至るため、一刻の猶予もありません。