食べたら消えてしまう菓子ではなく、一生モノの品を手に入れたいなら「鎌倉彫」に目を向けたい。武家政権を打ち立てた源頼朝の時代、寺院の仏具や建築装飾として始まった漆塗り工芸である。
桂の木などを丁寧に彫り込み、幾重にも漆を塗り重ねて研ぎ出す。独特の陰影と深みのある朱色は、使うほどに艶を増し、手肌に馴染む。敷居が高く思われがちだが、現在では日常使いできる箸やモダンな小皿、手鏡など、手頃で洗練されたアイテムが多数揃っている。
小町通り周辺の専門店やギャラリーでは、職人の実演を見学できる場所もある。武士の気骨と禅宗の美意識が宿る工芸品は、目上の方への特別な贈り物としても格別の品格を放つ。