近年の千代田区・有楽町周辺におけるカフェカルチャーの牽引役となっているのが、駅直結の主要商業施設だ。ルミネ有楽町や有楽町マルイのフロアを歩くと、単に買い物の合間に立ち寄る「休憩所」としての枠組みを完全に脱却した店舗設計が目立つ。株式会社丸井グループが推し進める空間体験の価値向上も相まって、館内には心地よい環境音楽とともに、単一農園のシングルオリジンを提供するサードウェーブコーヒーの旗手たちが自然と溶け込んでいる。
飲食業界全体がサステナビリティや豆のトレーサビリティに目を向けるなか、有楽町のカウンター越しに繰り広げられる世界観は極めて先進的だ。浅煎りのエチオピアが放つ花のようなアロマに、思わず足を止める買い物客たち。コンクリート打ちっぱなしのミニマルな内装と温かみのある木製スツールが、都市生活者の昂ぶった神経をすっきりと解きほぐしていく。