細心の注意を払っていても、不意に分泌液が手肌や衣類に付着してしまうアクシデントは起こり得ます。この独特の青臭く刺激的な悪臭は、通常の水洗いや石鹸による手洗いではほとんど落ちません。それは主成分であるトランス-2-ヘキセナールなどが「油に溶けやすく水に溶けにくい親油性」の性質を持っているからです。
カメムシの臭いを消す落とし方の鉄則は、「油には油をぶつける」という有機化学のアプローチです。
手肌に臭いがついた場合は、水で洗う前に乾いた手へクレンジングオイルやオリーブオイル、食用油を適量なじませ、成分を油の中に浮き上がらせます。その後、台所用の中性洗剤や石鹸で乳化させながら洗い流すと、驚くほど綺麗に臭気分子を除去できます。柑橘類の皮に含まれるリモネン成分も親油性油分の分解に役立ちます。
衣類に臭いが付着したときは、決して他の洗濯物と一緒に洗ってはいけません。臭いが他の衣類に移ってしまいます。まずは患部に台所用洗剤を直接垂らし、ぬるま湯で揉み洗いを施します。その後、揮発性を促すためにスチームアイロンの熱蒸気を当てるか、コインランドリーの高温乾燥機(70℃以上)にかけることで、繊維の奥に残った悪臭成分を空気中へ蒸発・飛散させることができます。