台東区浅草観光案内所としての役割を担う同センターは、2012年に現在の姿へと全面刷新されました。設計を手掛けたのは、新国立競技場をはじめ世界的な名建築を生み出し続ける建築家・隈研吾氏です。敷地面積約300平方メートルという限られた都市空間の中で、隈氏が提示したのは「伝統的な木造町家(平屋)を8層積み重ねる」という独創的なコンセプトでした。
外観を特徴づけているのは、不燃処理を施した天然杉の縦ルーバーです。垂直に立ち並ぶ木格子は、日中の陽光の角度によって陰影を変え、コンクリートとアスファルトで覆われた現代の街角に柔らかな息吹をもたらしています。屋根と床のあいだに挟まれた各フロアは、外から見るとまるで独立した小さな家屋が重なり合っているかのような有機的なリズムを刻んでいます。
内部に足を踏み入れると、地下1階から地上8階までの各フロアに多様な機能が凝縮されています。台東区の公式公表資料によると、単なるパンフレット配布所にとどまらず、4か国語(日・英・中・韓)対応の案内カウンター、展示スペース、多目的ホール、会議室が配置されており、「歩行者に開かれた立体的な広場」として緻密に計算し尽くされた構造となっています。