声優の交代劇において、ファンコミュニティの反応は常にデリケートな論点となります。特に『機動戦士ガンダム』のような国民的メガヒット作では、初代キャストへの愛着が極めて強く、キャスト交代のニュースが出るたびにSNSや大手掲示板では激しい議論が交わされてきました。
2022年に『ククルス・ドアンの島』で新井里美さんの起用が発表された際、ネット上では当初、「新井里美さんといえば『とあるシリーズ』の白井黒子のようなハイテンションで個性的な声の印象が強く、ミライの落ち着いたトーンに合うのか?」という懸念の声が一部で見られました。また、劇場版『Ζガンダム』でファ・ユイリィを演じていた記憶を持つファンからは、「ファのイメージが重なってしまわないか」という戸惑いも囁かれていました。
しかし、劇場公開初日を迎えると、そうした懸念は瞬く間に称賛へと変わりました。劇場を訪れたオールドファンのSNS投稿やレビューサイトの書き込みを分析すると、以下のような実感が数多く寄せられています。
「映画館で鑑賞中、ミライさんが喋った瞬間に鳥肌が立った。白石冬美さんの独特のイントネーションや息遣いが見事に昇華されていて、まったく違和感がなかった」
「新井里美さんの芸域の広さに圧倒された。白井黒子のトリッキーな声とは完全に別人。まさにクルー全員の母であり姉であるミライそのものだった」
試写会や舞台挨拶の報道によると、新井さん自身も白石冬美さんが遺した膨大な音声資料を何度も聴き込み、アフレコに臨んだと明かされています。ただ声色を真似る「モノマネ」ではなく、彼女の台詞の奥にある「クルーを気遣う慈愛の感情」をトレースしたことが、耳の肥えたガンダムファンを納得させた最大の要因でした。