本作の歌詞を紐解く上で最大の鍵となるのが、「語り手の視線が誰に向けられているのか」という点です。宇多田ヒカルが手がけたエヴァンゲリオンの世界観を反映したリリックは、極めて緻密に構成されています。
冒頭から提示される「It's only love」というフレーズ、そして「もしも願い一つだけ叶うなら 君の側で眠らせて どんな場所でもいいよ」という切実な吐露は、主人公・碇シンジが抱く他者との絶対的な繋がりへの渇望そのものを想起させます。ヤマアラシのジレンマに苦しみ、他者と触れ合えば傷つき、離れれば凍えるシンジの孤独が、無防備なまでの愛の告白として昇華されているのです。
また、歌詞中に登場する「自分の美しさ まだ知らないの」という象徴的なラインは、シンジから綾波レイや渚カヲルへ向けた眼差しとも読める一方で、宇多田ヒカルという表現者が傷だらけのシンジ自身へ投げかけた慈愛に満ちた眼差しとしても解釈できます。自己価値を見出せない存在に対し、その存在そのものを肯定する祈りが、メロディの根底に流れています。