現在60代後半を迎えた波野好江さんは、公の場に過度に出ることは控えているものの、歌舞伎座や平成中村座の公演期間中には劇場ロビーや楽屋裏でその凛とした姿を見ることができます。長男・勘九郎の妻である前田愛さんと二人三脚で「中村屋の看板」を支え、劇場の裏方仕事や贔屓筋への挨拶回りなど、梨園の伝統的な女将としての重責を果たしています。
特に近年は、孫である三代目中村勘太郎(2011年生)と二代目中村長三郎(2013年生)が歌舞伎俳優として急成長を遂げており、祖母としての温かなまなざしと、厳しい芸の道へ送り出す梨園の長老としての役割を両立させています。関係者の証言によると、「好江さんは決して前に出ようとはしないが、舞台の出来栄えや一門の空気感を誰よりも鋭く見極めており、息子たちにとって今なお最大の相談役である」と語られています。