酒席のローカルルールに過ぎなかった「最初はグー」が、なぜ全国民の共通言語へと跳ね上がったのか。その決定打となったのが、TBS系列の伝説的バラエティ番組『8時だョ!全員集合』です。
志村氏は、飲み会で抜群の効果を発揮したこの掛け声を、番組内のコントに逆輸入しました。特に仲本工事氏との対決コーナーや、いかりや長介氏を巻き込んだやり取りの中で、「最初はグー、じゃんけんぽん」というリズミカルな掛け声をテレビの電波に乗せたのです。当時の放送回では、基本形にとどまらず、以下のようなリズミカルな派生フレーズへと発展していきました。
「最初はグー、またまたグー、いかりやチョーすけ頭はパー、正義は勝つ、じゃんけんぽん!」
当時、土曜夜8時の同番組は最高視聴率50%超を記録し、日本中の子どもたちがテレビの前に釘付けになっていました。番組内で志村氏が繰り出すテンポの良い動きとリーダーのいかりや氏をコミカルにいじるフレーズは、子どもたちの心を一瞬で鷲掴みにしました。放送のあった翌週月曜日、日本全国の小学校の校庭や教室で子どもたちが一斉にこのフレーズを真似し始めたことが、爆発的な普及の起点となりました。
現在のようにインターネットやSNSが存在しなかった時代において、お化け番組が持っていた単一の情報伝播力は絶大でした。北は北海道から南は沖縄まで、わずか数カ月から数年の間に「最初はグー」は子どもたちの遊びの規範として刷り込まれていったのです。