本作を語る上で欠かせないのが、画面全体を圧倒的な輝きで支配したティファニーのジュエリーと、武井咲が着こなした完璧なオフィスコーディネートです。ティファニー・ジャパンが撮影のために貸し出したジュエリーの総額は数億円規模に達し、撮影現場には常時セキュリティスタッフが同行するという異例の制作体制が敷かれました。
ドラマの放送を機に爆発的なリバイバルヒットを記録したのが、ブランドのアイコンである「オープンハート」です。1980年代のバブル期に一世を風靡したフープピアスやペンダントを、武井咲演じる未亜がモードなシャツスタイルやジレにさらりと合わせたことで、「オープンハートは時代遅れではなく、現代の自立した女性こそが身につけるべき名品」というパラダイムシフトが起きました。さらに、洗練されたモダンな曲線を描く「ティファニー T」シリーズのスマイルペンダントやワイヤーブレスレット、一粒ダイヤが肌に寄り添う「ダイヤモンド バイ ザ ヤード」の着用カットは、全国の店舗で完売が相次ぐ社会現象となりました。
衣装スタイリングにおいても、白、ベージュ、ネイビー、ペールトーンを基調とした上質なブラウス、ハイウエストのタイトスカート、落ち感の美しいワイドパンツの組み合わせは、働く女性たちの「通勤服のお手本」としてファッション誌で大特集が組まれました。ジミーチュウのスタイリッシュなピンヒールやアイコンバッグがアクセントとして投入され、画面の隅々に至るまで計算し尽くされた美意識が、泥沼になりがちな不倫愛のトーンをエレガントに中和し続けたのです。