このエピソードが「神回」と絶賛される最大の理由は、単なる謎解きにとどまらない犯行動機の切なさと、ラストシーンの美しさにある。鳳翠が凶行に及んだのは、単なる金銭欲や名誉欲ではない。自らの才能を縛りつけ、芸術を食い物にする存在からの魂の解放だった。
古畑が最後に手向けた言葉と、鳳翠が見せた晴れやかな笑み。罪を暴かれた犯人がこれほど清々しい表情を見せる結末が他にあるだろうか。「しばしのお別れ」というサブタイトルに込められた二重の意味が明かされる瞬間、視聴者はミステリーの枠を超えた深い感動に包まれる。撮影当時、スタッフ全員が息を呑んだという幕切れの真相は、まさにドラマ史に残る名場面だ。