西洋のアニメーションにおいて、カエルという生き物は「魔法で姿を変えられた王子」や「愛らしいマスコット」として記号化されることが多い。しかし、宮崎駿が描く青蛙にそのような生半可なファンタジーの甘えは一切存在しない。
湿り気のある皮膚の質感、跳躍する直前の太ももの筋肉の緊迫感、欲望に瞳孔がひらく瞬間の眼光。宮崎監督の圧倒的な観察眼は、生物としての泥臭いリアリティをアニメーションに持ち込んだ。可愛いキャラとして誤魔化さないからこそ、その行動の一挙一動が観客の感覚にダイレクトに引っかかり、強い現実感を与えるのだ。