スマートフォンの画面をスクロールするだけで、私たちは他者の人生に深く干渉しているような錯覚に陥る。特に2026年のエンタメ業界を席巻する「超没入型ファンビジネス」は、ファンとクリエイターの距離を極限まで縮めた。だが、そのゼロ距離の親密さこそが罠だ。昨日まで数万円のスパチャ(投げ銭)を投じていた熱狂的なファンが、ほんの些細な失言やスキャンダルをきっかけに、最も執拗な攻撃者に変貌する事例が後を絶たない。
「裏切られた」という叫び。それは、ファンが勝手に作り上げた「理想の偶像」が崩壊したことへの怒りだ。自己を投影しすぎた結果、対象の失敗を自分への攻撃と捉えてしまう。この歪んだ同一化が、ネット上の凄惨な誹謗中傷の原動力となっている。