激動の幕末、坂本龍馬との交流や政商としての才覚で脚光を浴びた創業者の岩崎弥太郎。彼の凄みは、単なる貿易商にとどまらず、海運業を基軸として国家の物流を網羅した点にある。NHK大河ドラマ『龍馬伝』でも描かれた熱狂的な起業家精神は、九十九商会から海援隊の事業を引き継ぎ、やがて日本郵船へと結実していく。
明治政府の庇護を受けつつも、熾烈な競合との生存競争を勝ち抜いた岩崎家は、やがて男爵の爵位を授けられ、名実ともに日本の最高峰たる華族の列に加わった。家訓である「所期奉公」「処事光明」「事業立国」の三綱領は、単なる教訓ではなく、血族が守るべき絶対の行動規範として子々孫々に刷り込まれていくことになる。