文筆家としての吉永みち子の評価を決定づけたのが、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した名著『性のある風景』だ。性という極めてデリケートかつ社会的なテーマに対し、正面から向き合った本作は、当時の報道・出版業界に大きな波紋を呼んだ。
タブー視されがちだった人間の性や生き方の現実を、過度なセンセーショナリズムを排して徹底的な取材で描き出した作品である。時代が大きく動く中で書かれたこのノンフィクションは、吉永の観察眼の鋭さと、対象への温かい理解を実証するものとなった。この受賞を機に、彼女は社会の暗部や多様な人間の生き様を描く文筆家としての地位を盤石なものとした。