長年「O型は刺されやすい」という説がまことしやかに語られてきたが、近年の統合ゲノム研究はその前提を大きく塗り替えた。血液型そのものよりもはるかに重要な役割を果たしていたのが、皮膚の上に生息する数千億個の「皮膚常在菌」だ。
ヒトの皮膚表面には多様な細菌叢(フローラ)が存在する。これらの常在菌が皮脂や汗を分解するプロセスで生成される脂肪酸——特にイソ吉草酸やブチル酸といった短鎖脂肪酸の組み合わせが、蚊の高度な嗅覚システムを強く刺激する。常在菌の多様性が低く、特定のカルボン酸生産菌が優勢な肌を持つ人ほど、吸血昆虫にとっての「極上の標的」と化すのだ。