松坂桃李 デビュー作となった『侍戦隊シンケンジャー』。当時20歳だった彼は、2008年にファッション誌『FINEBOYS』の専属モデルオーディションでグランプリを獲得し芸能界入りしたばかりで、演技経験は皆無に等しい状態でした。そんな彼が、数千人規模の候補者がひしめくシンケンレッド オーディション秘話において、いかにして主演の座を勝ち取ったのかは、今なおファンの間で語り草となっています。
東映のチーフプロデューサー・宇都宮孝明氏やメイン脚本を担当した小林靖子氏ら制作陣が求めていたのは、単なる元気で熱血な典型的一番手ではありませんでした。志葉家の当主として家臣たちを従え、武士道と孤独を背負って戦う「孤高の若きリーダー」という極めて難度の高いキャラクター像です。オーディション会場に現れた松坂桃李は、まだ垢抜けない初々しさを残しながらも、他を圧倒する立ち姿の美しさと、どこか影を感じさせる憂いを帯びた眼差しを放っていました。
審査に携わった関係者の証言によると、「セリフの技術は拙かったが、黙って立っているだけで漂う品格と、芯の強さを感じさせる佇まいが圧倒的だった」と評されています。スーパー戦隊 主演俳優の歴史において、ここまで「静のカリスマ性」を重視して選ばれたレッドは極めて異例であり、その直感は見事に的中することとなりました。