1868年の神戸港開港に伴い、現在の旧居留地(中央区海岸通周辺)に外国人専用の居住地が造成されました。しかし、生糸や茶の貿易で急速に発展した神戸には予想を上回る数の外国人が押し寄せ、居留地内の土地が瞬く間に不足。明治政府は居留地外でも外国人の居住を認める「雑居地」を山手側の北野地区に設定しました。
北野の地が選ばれた背景には、南向きの斜面で日当たりや風通しが良いこと、眼下に神戸港を一望できる景観の良さがありました。横浜や長崎の居留地が厳格に区画整理されたのに対し、北野は日本人住民の集落と入り混じるようにして洋館が建てられたため、和洋折衷の独特な町並みが形成されたのです。
太平洋戦争の戦火や昭和後期の開発の波、そして1995年の阪神・淡路大震災を乗り越え、現在は国選定の「重要伝統的建造物群保存地区」として保護されています。単なるテーマパークではなく、100年以上の歳月と人々の暮らしが刻まれた本物の歴史遺産であることが、この街の最大の魅力です。