インターネット上やSNSでは、アテレコという用語に関して二つの対極的な誤解が散見される。
誤解1:「アテレコは現代では使われない死語である」
インターネットの質問掲示板などで「アテレコは昭和の死語で、今はアフレコや吹替に統一された」という主張が見られるが、これは明確な誤りである。一般向けの流通パッケージやテレビ欄では「日本語吹替版」と表記されることが定着したため、消費者が目にする機会は減った。しかし、スタジオの演出席や声優同士のやり取りでは「このシーンのアテレコ、頭のブレスから取り直します」といった具合に、現在も日常的な現場専門用語として第一線で使われ続けている。
誤解2:「ネット上のアテレコ動画は単なる遊びで問題ない」
近年、TikTokやYouTube Shortsで急増している「アテレコ動画」は、動物の仕草や海外のハプニング映像、あるいは有名アニメのワンシーンに自作のユーモラスなセリフを被せるコンテンツだ。若年層の間で声の表現を楽しむカルチャーとして親しまれている。
しかし、法的な観点における盲点が存在する。他者が著作権を持つ既存の映像を無断で使用して自作の台詞を声当てする行為は、著作権法における「翻案権の侵害」や「同一性保持権の侵害」に抵触するリスクを常に孕んでいる。公式がアテレコ用として配布している素材や著作権フリーの動画を除き、無許可のパロディ動画を商業利用・無断転載することは重大な権利侵害になり得る点には注意が必要だ。