湯シャンを始めると「皮脂が落ちきらずに毛穴が詰まるのではないか」「周囲に不快な臭いを放っていないか」という不安を抱く人は少なくありません。皮膚科学の観点から見ると、頭皮の臭いの原因と理由は、皮脂そのものではなく「酸化した皮脂」と「頭皮常在菌(マラセチア菌や黄色ブドウ球菌など)による異常分解」にあります。
従来の市販高級アルコール系シャンプーは脱脂力が非常に強く、頭皮に必要な保湿因子(NMF)や善玉常在菌まで一掃してしまうケースがありました。頭皮は乾燥の危機を感知すると、防御反応として短時間で大量の皮脂を分泌します。これが、毎日洗っているのに夕方になるとベタつく「インナードライ頭皮」の正体です。
湯シャンに切り替えると、頭皮本来のバリア機能が保たれ、過剰分泌されていた皮脂量は約3週間から2ヶ月の移行期間を経て自然な水準へと落ち着いていきます。ただし、毛髪科学の臨床データが示す通り、38℃以下のお湯だけで落とせる皮脂や汚れは約70〜80%にとどまります。残りの20%を酸化させず健やかな保護膜として機能させるか、それとも悪臭源に変えてしまうかは、日々の物理的な洗浄技術にかかっています。