日本糖尿病学会の理事長などを歴任し、代謝・内分泌研究を牽引してきた門脇孝氏をはじめとする第一線の専門医らは、早期段階における「インスリン抵抗性」の解明に注力してきた。インスリン抵抗性とは、膵臓からホルモンが分泌されているにもかかわらず、肝臓や筋肉などの標的組織がブドウ糖を取り込まなくなる現象を指す。
内臓脂肪の蓄積によって遊離脂肪酸や炎症性サイトカインが過剰に分泌されると、インスリンの受容経路が阻害される。膵臓は血糖値を下げようとさらにインスリンを増産し、高インスリン血症が常態化する。この過負荷が限界に達したとき、インスリンを分泌するβ細胞が疲弊・脱落し、不可逆的な糖尿病へと移行していく。専門家が「早期介入こそがβ細胞の寿命を守る唯一の防壁」と口を揃える理由はここにある。