せんじがらの歴史は、戦後間もない昭和20年代から昭和30年代にまで遡ります。発祥の地となったのは、公営の食肉処理場(と畜場)を擁していた広島市西区福島町周辺エリアです。
当時、食肉の解体現場では精肉部分が出荷される一方、鮮度落ちが早く保存が効かない内臓肉(ホルモン)が豊富に存在していました。このホルモンを無駄にせず、日持ちのする食品へと加工するために編み出されたのが、「油で長時間じっくりと揚げて水分を完全に飛ばす」という製法でした。
食肉処理場近くの食堂や精肉店の手造りから始まったせんじからは、地域の肉体労働者たちにとって貴重なタンパク源であり、仕事終わりの一杯を支える極上の酒の肴として瞬く間に浸透していきました。過酷な戦後復興期を支えた生活の知恵と職人の工夫が生んだ、まさに広島の歴史とともに歩んできた正真正銘のソウルフードです。