感受性への認知が高まる一方で、見過ごせない歪みも生じている。急速に拡大するメンタルヘルスケア産業のなかで、商業主義的なセルフヘルプ・自己啓発セミナーや高額なカウンセリングビジネスが乱立している現状だ。
「あなたは選ばれた特別な存在だ」と過度に特権意識を煽る言説や、逆に「繊細だから社会で働けない」と過度な無力感を刷り込むような言説には細心の注意を払わなければならない。臨床心理学の専門家からも、安易な自己診断によって他の精神疾患や発達障害の適切な医療支援から遠ざかってしまうリスクが警告されている。
科学的根拠に基づいた信頼できる情報源を見極め、自分自身の取扱説明書を客観的に編み上げていく姿勢こそが、情報過多の時代を生きる知性にほかならない。