韓国国内での評価において特に注目されたのが、安重根の標的となった伊藤博文の描写だ。過去の韓国映像作品では、伊藤は冷酷非道な侵略者の権化としてステレオタイプに描かれることが多かった。
しかし映画『ハルビン』における伊藤博文は、単なる悪役ではなく、近代日本の帝国主義政策を冷徹に推し進める手練れの政治家として一定の知性と威厳を帯びて登場する。この客観的なアプローチが、物語の対立構造に深い緊張感をもたらした。
現地メディアの批評家たちも「愛国心に訴えるだけの安易な感情移入を拒否し、歴史の冷徹な断面を切り取った」と高く評価。若年層の観客からは「歴史の授業で習った安重根像とは違い、生々しい人間味を感じた」「重厚で見応えのあるサスペンス」といった冷静で成熟した感想が多く寄せられている。